前のエントリーで予告してあった通り、京急蒲田駅近くにある大田区産業プラザPIOで行われたイベント『放射能情報とガイガーカウンターのホント』に行ってきた。このイベントは「大田区の子どもの健康を放射能から守る会」が主催したもので、放射能のイベントとして地域が主催するのは、これが初めてであるらしい。
地域が主催したイベントということで、子どもや赤ちゃんをつれた観客も多く、途中ガイガーカウンターによる放射線測定の正しい方法を主催者による着ぐるみの寸劇で説明してみたりと、不穏な放射能をテーマとしたイベントであるにも関わらず終始なごやかな雰囲気のイベントだった。
なんだか放射能の話というのは、かしこまって真面目な顔して深刻そうに話し、最後には涙の一粒や二粒落とさないと収まりがつかないような雰囲気があるような気がするが(当社比)、それはどうもあんまり良いことだとは思えない。そのような雰囲気は人を遠ざけ無関心を呼び寄せるような気がするからだ。だから、このようなイベントが成立したことは、それだけで成功だったと僕は思っている。
イベントは午前10時に始まり、第一部は『ガイガーカウンター鳴き合わせ&ベクレルモニタ測定実演』。
第二部は『ガイガーカウンターの正しい知識』という主催者による着ぐるみの寸劇(これは素人のパパママが作ったとは思えないほど…でもないけど、なかなかなクオリティだった)。
第三部は、まず高エネルギー加速器研究機構の素粒子原子核研究所教授でツイッターでも人気の物理学者、野尻美保子先生による『放射線測定の何に気をつけるか―市民と行政と企業―』と題された講演。
そして慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任講師で「こどもたちを放射能から守る科学者ネットワーク」の活動にも関わっている斉藤賢爾先生による『放射能情報とメディアリテラシー―そしてすべてを吹き飛ばす子どもたち―』と題された講演。
最後にジャーナリストの津田大介が司会進行で入って質疑応答形式のパネルディスカッションで終了となった。
ベクレルモニタ測定の結果 |
この「鳴き合わせ」とは、校正済みの線量計で測定した標準値と、持参したガイガーカウンターなりの線量計の値をくらべることで、マイ線量計の「くせ」を知ろうという主旨のもの。
原発事故以降、僕たちは「放射線をガイガーカウンターなどの線量計で、個人単位で測ることができる」という選択肢を得ることになった。それはあまり良いことじゃないかもしれないけど、放射線はたしかにココソコにあって、これはもうしょうがないです。
しょうがないならば、しょうがないなりに正しい数値で正しい判断を得たいのだけれど、ガイガーミューラー管やシンチレーションなど、その線量計が採用する方式や個体差によって、なんだかどうも、測定される値がみんなバラバラらしいのだ。
僕も低価格なガイガーカウンターを購入し放射線測定のフィールドワークをするようになってから、自分の線量計が出す数値が、他と比べてどうなんだろうという事が気になってしかたがなかった。かといって他の機器と比べることは個人では難しいことなので、この「鳴き合わせ(校正)」会の案内を見て飛びついたわけである。
「鳴き合わせ」の方法は至って簡単で、中心に線源(セシウム137の1.02メガベクレル)が置いてあり、そこから30cm、60cm、90cmの同心円が引かれている。その3つの位置に自分の線量計を置いて測っていく。そしてそれぞれの距離の、TN100という70万円くらいする日本製の線量計が出した標準値と比べるのである。
鳴き合わせテーブルのレイアウト |
様々な線量計の測定値を見ることができた |
喜び勇んで「鳴き合わせ」を実行した結果は思わぬものだった。
30cm | SOEKS-01M:0.60μSv/h | 標準値:1.060μSv/h
60cm | SOEKS-01M:0.31μSv/h | 標準値:0.319μSv/h
90cm | SOEKS-01M:0.17μSv/h | 標準値:0.163μSv/h
これまで僕のガイガー「SOEKS-01M」は、低い線量下では正しい数値を示さず、やや高めの数値をはじき出し、線量が高くなる毎に正常な値に近づいていくといった感じだと思っていた。しかしこの結果を見る限りまるで逆なのだ。(前エントリーで、5μSv/h測定された場所にいって測ってみたら2μSv/hしか出なかったのは、もしかしたらこのガイガーのせいかもしれない…)
本当の線量より低い線量を出すなんて、なんて御用なマイガイガー(涙)。
これがSOEKS-01Mの標準的な数値なのか(違うだろうなー)、それとも個体差なのか(不良品だったりしてorz)、たまたまだったのか、今のところよくわからない。後日、各線量計の集計結果が「大田区の子どもの健康を放射能から守る会」で公開されるらしいので、それを見ればある程度判断することができるかもしれない。また、「鳴き合わせ」する次の機会を得ることができたら再度参加してみるつもりである。
あと、もしかしたら個人でもこの「鳴き合わせ」をすることが可能であるかもしれないので、これは時間がある時にじっくり書いてみたい。
結局のところ「鳴き合わせ」は、大雑把な比較しかできないので「校正」ということにはならないかもしれない。でも自分の線量計が必ずしも正しい数値を出していないということが実感できるし、様々な線量計がはじきだす数値を見て比べることができるので、放射線測定に対するリテラシーが養われることは間違いないだろう。そしてそれこそが大切なことなのと僕は思っている。
公式告知ページ
http://ootaku-savechild.info/0115gcm.html
ユーストリーム(アーカイブ)
http://www.ustream.tv/channel/gcm115
標準値を決めたTN100 |
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