2012年2月21日火曜日

川内村の帰村宣言と汚染分布について考えたこと

朝、出社の準備をしながらフジテレビの「とくダネ!」を見ていたら、1月31日に「帰村宣言」した福島県川内村に1週間滞在したレポートを放送していた。

あまり集中して見ることはできなかったのだが、驚いたのは、福島第一原発から20km圏内の地域を含む川内村の空間放射線量がかなり低かったことだ。


より大きな地図で 福島県川内村 を表示

川内村に1週間滞在したリポーターが、持参したガイガーカウンターで測定した数値は「毎時0.1マイクロシーベルト」程度。この数値は関東圏をガイガーカウンターで測定した数値と同程度だと思う。

実際、同じ測定器でフジテレビ周辺で測定した様子も紹介されたが、その数値も同じ0.1程度。またその後、村役場にある放射線量モニタリングポストの数値も放送されたが、それもやはり0.1程度だった。

番組のレポートは、この程度の線量であるならば帰村もまったく問題無いように思わせるのだが、芝生の地上近くで「毎時3マイクロシーベルト」程度が測定される様子を放送し、今だ放射線の脅威に晒されていることを示唆する。――ここまでは慌ただしく出社準備に追われながら番組を見た記憶で書いたものであり、間違いがあるかもしれない。

ネットでデータを探してみると、村内の放射線量遷移の記録(村内の放射線量6月以前)が公開されていた。

▼村内の放射線量6月以前
(なぜかリンク先がエラーになるのでコピペ用:http://shinsai.kawauchimura.jp/?p=958)


これを見ると、16日(福島第一原発が水蒸気爆発し30km圏内の避難が指示された翌日)の「10.5マイクロシーベルト/h」はかなり高い数値に思えるが、その後ある程度のスピードをもって減少していっていることがわかる。雨が降ると多少数値が高くなるようだが、3ヶ月後にはだいたい「0.3マイクロシーベルト/h」にまで下がっている。

この線量の推移はあるていど楽観的な期待を抱かせてくれるものだろう。だが、2011年7月に川内村全域にわたって測定された「線量測定位置図」という資料を見ると、村内の線量分布に、かなりのバラツキがあることがわかり、定点の線量だけでは単純に判断できないこともわかる。

▼村内の放射線量マップ
(なぜかリンク先がエラーになるのでコピペ用:http://shinsai.kawauchimura.jp/?p=779)


しかし、単純に判断できないのは、川内村内に限ったことではないだろう。

風向きや地形その他様々な環境的要因により、福島第一原発から漏れ出した放射性物質は複雑に分布することになった。20km圏内にかかる川内村より線量が高い地域は、原発からもっと遠い地域にもあり、ともすれば30km圏内よりも線量が高いか同等の地域が関東の一部にあったりする。

この分布のバラツキこそが現在の放射能汚染のひとつの特徴なのだろう。川内村の状況は、もっと広範囲の状況と同じなのだ。

川内村の帰村宣言には様々な意見があるようだ。たしかに事故前の環境に戻ったとは口が裂けても言えないし、村内の線量の高低を常に留意しながら生活しなければならないだろう。だとしても、生活圏における空間線量がある程度まで下がり、帰村を判断するまでになったことは喜ぶべきことだと思う。村の復興にはまだまだ長い道のりだろうが、前向きな決断と姿勢を応援していきたい。

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